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海へ

ヴァイル憎悪verAその後のお話。
最近暗い話しか浮かばないから嫌だなー。ヴァイルには幸せになってもらいたいと思ってるのにねー。


 その日は酷い天気だった。全てを覆い隠すかのように風が吹き荒れ、石壁を叩くように雨粒が降っている。そんな荒れた夜、人目を隠すようにヴァイルが私の元へやって来た。
 久しぶりに見るヴァイルは、背が大きくなっており、凛々しい顔つきをしていた。未分化の時から言っていた通り、男性を選んだようだった。見た目は大いに変わったが、忌まわしい宿敵――私を睨む鋭い目つきは変わっていない。それでも私がヴァイルを愛しているのも変わらない。そうじゃなければ、今こうしてヴァイルと二人きりでお茶を飲んでいるということもない。
 びゅうびゅうと風が吹く音が室内に響く。ヴァイルは私が出したお茶に手を付けず、ぼんやりとそれを眺めていた。私はお茶を一口啜り、話を切り出した。

「今日はどうしたの? 何かあったなら――」
「海」
「……え?」
「俺、海に行くから。それだけ」

 ようやく顔を上げたヴァイルはそう言うと、そのまま真っ直ぐ私を見つめてきた。……海、何で、どうして。
 扉に手を掛けたヴァイルの背中にしがみ付くように飛びつく。鬱陶しそうにヴァイルは視線をやるが、無理矢理振りほどこうとはしなかった。もっと別の場なら嬉しさを感じるはずだけど、今はそんな暇はない。何としてでもヴァイルを引き留めなければならなかった。
 だって、海は危険な所で魔物がいると言われている。そんな所にヴァイルを行かせるわけにはいかなかった。

「海なんてダメだよ、危険だし……」
「アンタに関係ないだろ。俺が行きたいから行くんだよ。そこにアンタの意志は関係ない」
「ヴァイル……」
「俺の名を呼ぶなッ!」

 ヴァイルがそう叫んだ瞬間、雷が地面に落ちたのだろう、辺りが揺れる。雷が落ちたのは偶然だと分かっていても、まるで、アネキウスがヴァイルに味方しているように感じた。

「じゃ、じゃあ……私も連れて行って! 奴隷でも、召使でも良い、だから」

 ヴァイルの側にいさせて。
 そう言うとヴァイルは、はっと馬鹿にするように笑うと私を突き飛ばした。受け身を取ることが出来ず、無様に尻餅をついた私を見下しながらヴァイルは言った。

「アンタ、王様だろ? 王様を途切れさせちゃダメだろ。そんなことも分からないのに、何で王様になろうとしたわけ? ……馬鹿じゃない。ずっとここにいる覚悟なんて、無かったくせに」
「わ、私は……」

 じわり、視界がまた滲む。胸が痛い。王様になりたかったのは、そうすればヴァイルと一緒にいられると、憎まれていても会えると、そう思ったから。でも、現実は甘くない。だって、ヴァイルが海に行ってしまったら、私はひとりぼっちになってしまう。
 どうして皆いなくなってしまうんだろう。私だけがこの城に取り残される。徴に縛られてしまったが故に何処にも行けない。

「……レハトも、俺と同じ思いを味わえばいいんだ」

 そう冷たく告げると、ヴァイルは部屋から出て行った。部屋に一人取り残された私は、そのまま床を涙で濡らすことしか出来なかった。



 その日から一週間後の良く晴れた早朝、私は王城の裏側でヴァイルと会っていた。昨日の夜にヴァイルから手紙が来て、ここに来てほしいと書かれていたから来たのだ。もちろん、供は誰も連れていない。そんな私を見て、ヴァイルは呆れたように溜息を吐いて「アンタ馬鹿なの」と言われたのは、ついさっきの出来事だ。
 今、私はヴァイルの横に座りながら湖を真っ直ぐ眺めていた。この間のことがあったから、海へ行くのを辞めてくれるのかと思っていたのだけど。

「俺、明日海に行くから」

 ぽつり、独り言を漏らすようにヴァイルはそう言う。……やっぱり、そうだよね。私のためにここに残ってくれるなんてありえないと知っていたのに、いざ本当のことになると悲しくなる。

「……そっか」

 涙を堪えながらそう言う。声は震えてしまっていたから、きっと泣きそうなのが分かったのだろう。ヴァイルは再び溜息を吐いた。膝に顔を埋めて、そのまま泣いていると、背中を優しく擦る感触がした。

「アンタさ、もう少し喜んだら? 憎んでいる奴が一人消えるんだからさ」
「……憎んで、ない……あい、愛してる、から」
「……愛してる、ねぇ」

 胡散臭そうにヴァイルは繰り返す。さすがに信じてもらえないか、と思い「ごめん」と告げる。

「……別に」

 素っ気なくヴァイルはそう返事すると「そうそう」と思い出したように口を開いた。

「伯母さんには何にも言ってないから、後処理が大変だと思うけど……よろしくな」

 その言葉に少し躊躇った後、頷くとヴァイルは立ち上がり砂埃を払う。日はすっかり高くなっていて、湖面がきらきらと光っている。

「じゃーな」

 そう言ってヴァイルは城門へと歩いていく。しかし、数歩進んだところで私の方へ振り返ると口を開いた。

「俺、レハトのこと好きだったよ。……だから、いつか会えたら、その時は――」

 弧を描いた唇から零れる言葉に、思わず目を見開いて涙が頬を伝う。その言葉に何度も頷くと、ヴァイルはすれ違う以前のように笑った。



 去って行くヴァイルの後姿を見つめていると、泣きすぎたせいか頭が少し痛く感じる。ヴァイルの姿が見えなくなってから、その場を去ろうとすると、ヴァイルが座っていた所の近くの物陰に何か見えて、それを拾う。……それは、私がヴァイルに贈った仕込み短剣だった。私はそれをぎゅっと握りしめて、
 ヴァイルが私を憎んでいても、私はヴァイルを愛している。それが一生交わることがない。でも、ヴァイルを憎むことは出来ない。一生この想いは燻り続けて私を苦しめるのだろう。まるで、呪いのように。
 でも、今度再び巡り会えたその時こそは、必ず――


――――――――――――
憎悪Aの後、ヴァイルは父親を捜しに海へ行ったとかどうですか。ダメですか。
憎悪Aの後どうなった? と考えると
女ヴァイル→男レハトに監禁
男ヴァイル→海へ
な感じになります。

後、憎悪のはずなのに何でヴァイルがレハトの所に行っているかというと、
海へ行くと決めた時にヴァイルは、レハトがかつての自分と被って共感=好友が上がっているから、ということでお願いします。

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サイト名の通り、色んなキャラに浮気しまくってます。基本SS(と呼んでいいか分からない文)書いて満足してます。矛盾・誤字などがありましたら報告して下さると嬉しいです。

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