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正答の無い関係

タナッセ友情verBとヴァイル友情verBのその後。
レハト(女)は時々ヴァイルにお使いを頼まれる関係。
タナッセとは文通するくらいの仲。詩人ということはバレてる。

・一応タナッセ友情一位おめでとうSS
・両者好愛が高い。
・レハトさんがめちゃくちゃ話してます。
・レハトさんが鈍感。逆ハーを目指したけど無理でした。

それでも良ければどうぞ。今回は少し長め。


 ある日の昼下がり、私はヴァイルからの指令でディットンへと赴いていた。何でも大神官長のキアノーから呼び出しを食らったが、政務が立て込んでいるために私に行かせたいのだという。が、その事を命ずる時のヴァイルの顔には「面倒臭い、行きたくない」と明らかに書いてあった。まぁ、ヴァイルも疲れているだろうし、仕事ついでに何か面白い物でも持って帰ろうと思っていた。
 大神官長のキアノーに会い、用事を済ませた後、ディットンで開かれている市へ行く。何か面白い物は無いかと探していると、中央の噴水前で人だかりが出来ていた。
 何か催し物をしているのだろうか、と思い、人ごみをかき分けて見ると、そこには弾き語りしている美女がいた。美しいハープの音と、透き通るような歌声に観客たちは聞き惚れている。私もその様子を見ていると、急に後ろから肩を叩かれた。 
 振り返ると、そこには随分懐かしい顔があった。

「こんな所で何をしているんだ」
「あ、タナッセ。お久しぶりです」

 そう言えばタナッセもここで詩の勉強をしていたんだと思い出す。職務が楽しくて忙しくてつい忘れていた。タナッセは苦笑しながら「まぁな」と返す。
 そして、私の見ていた先を見ると、タナッセは納得がいったような顔をした。

「ああ、旅芸人か」
「知ってるんですか?」
「……まぁ、月に一度ぐらいは来るからな。ああして芸を披露して、見物料として金や物を手に入れるんだ」
「へぇ……そうなんですね」
「今、弾いているのはニーヤンテとフォクレの恋物語だな。民衆はいつでもこのような恋愛話が好きだな」

 タナッセの解説を聞きながら、私はあることを考えていた。美女が演奏しているあのハープ。私も弾いてみたいし、ヴァイルへの良い土産になると思ったのだ。一番良いのは私が弾けるようになって、ヴァイルに演奏したいのだけれども、さすがに残り一週間でそれは無理だろうな。
 そう思っている内に弾き語りが終わったのか、観衆が多大な拍手をした。私も拍手していると後ろにいるタナッセが銅二枚差し出して囁いた。

「私の分も含めて渡してこい」
「自分で行ったらどうですか?」
「…………」
「…………」

 すったもんだの末、私が行くことになった。こういうのは自分で行けばいいのに、と思いながら、供えられた籠に銅二枚を入れて、タナッセの元へ戻る。そのまま二人並びながら市を回った。

「そういえばタナッセはどうしてここに? 何か用事でも?」
「ああ。羽筆が折れてしまったから買いに来たんだ。お前はどうなんだ」
「私は何か土産でも探そうかと思いまして。それで、ハープ売ってる店とか……」
「……ああ、あるぞ」
「そこに行きたいんだけど、連れて行ってくれませんか? 私、この辺の土地勘無いから……」
「……仕方ない。ついて来い」

 溜息を一つ吐きながらもタナッセはその場所へ向かっていく。私がはぐれないように歩幅も合わせてくれ、危険な時は手を引いてくれる。一年前は嫌味とか言われてたのになぁ。今は仲良く肩を並べて歩くような仲になっているなんて想像もつかなかった。
 暫く歩き、裏路地に入ってすぐの所にある、ひっそりと小さく佇んでいる建物に入れられる。そこには色んな形のハープやリュートが並んでいた。

「凄い……」

 ふらふらと近寄りながらハープの弦を一本弾いてみる。……玉の零れるような音が響きわたる。欲しい。ヴァイルの土産じゃなくていいから欲しい。

「タナッセ、私これ買います」

 そう宣言するように言うと、タナッセは呆れたように眉を顰める。

「……金は持っているのか」
「ええ。それにヴァイルから貰ったお金がありますから」

 そう言って微笑んでみせるとタナッセは苦笑する。そして、タナッセは私の代わりに店主を呼び、私からお金を受け取るとそれを渡してハープを買った。

「ほら、大切にしろ」
「ありがとうございます。……わぁ、凄く綺麗な音が出るんですね。早く弾いてみたいです」
「おい、今弾くんじゃない。屋敷に帰ってから弾け。品位が無いと思われる」
「失礼ですね……ちょっと舞い上がっただけじゃないですか」

 そんなくだらない口論を、人の良さそうな店主はにこにこと微笑ましいものを見るように眺めていたことを、私達は知らない。







 タナッセに連れられて、彼が暮らしている屋敷へと向かう。ハープは私には持てないから、ということでハープはタナッセ付きの衛士が持っている。……というか、ついて来たのか。主従関係が強くて羨ましい。
 屋敷へ着くとタナッセの部屋に連れられ、空いている部屋がないか確認してくるから、そこで待っていろ、と言われ、大人しく待つことにした。それにしても……。部屋の隅に置かれたハープに目を遣り、辺りを見回す。……誰もいない。私はそっとハープの弦を適当に弾く。それは曲というにはあまりにも拙いものだったが、初心者の私には自分で音を奏でているというだけで満足していた。
 そうやってハープで遊んでいると、不意に扉が開いたのでタナッセかと思い、そちらへ顔を向ける。やはりタナッセであり、呆れたような顔をしてこちらを見下ろしていた。

「来い。客室の一つが空いているそうだ」

 そう言われ、その部屋に案内してもらう。ベッドに小さな棚、それから机があるぐらいだったが、短期間だけだから問題ないだろう。枕元にハープを置いてもらい、またぽろん、と音を奏でていた。

「……下手だな」

 まだいたらしいタナッセはそう言うと、私の場所を横取りし、手慣れた造作でハープを奏でていく。綺麗な旋律を歌い上げるハープに、それを真剣な表情で弾くタナッセ。それが格好良く感じて、絵になるなと思ってしまった。
 一曲弾き終えたタナッセに拍手を送ると、彼は照れたように頬を赤らめる。そして、まんざらでもなさそうに言う。

「これくらい弾けて当然に決まっている。お前が弾けないのが可笑しいんだ」

 そう言うが、私は王城にいた頃楽器についての扱いは一切教えられなかったのだ。せいぜい楽器の種類ぐらいだ。

「ねぇ、タナッセ。私にハープの弾き方教えてくれませんか?」
「……何故、私がそんなことをせねばならんのだ」
「タナッセしか頼れる人がいないんです。だから、お願いします」

 頭を下げてそう言うと、数秒後にタナッセは「分かった」と言った。さすが私の心の友だ! それじゃ早速教えてもらおうとしたが、今は夕方で夜が近いからダメだと言われた。その代わり、明日の昼から時間を作って教えてやると言われ、ハープの楽譜を渡される。これで予習しておけということらしい。その晩、私はハープの運指方法や音階に関する本を読み漁った。
 そのせいか、起きたのはもうすぐ昼になろうかという時間帯だった。身嗜みを整え、昼食を取った後、楽譜を読みながらハープを丁寧に弾く。しかし、リズムが分からないせいか、いまいち楽曲らしくない。タナッセが来るまで、そうやって一通りの音は弾けるようになった。

「何だ、弾けるようになったのか」

 ノックもせずにタナッセは入ってくると、近くにあった椅子に座り、そう言った。

「いえ、まだです。リズムが分からないので弾けるほどでは。……タナッセがお手本見せてくれませんか?」
「……別に構わないが」

 タナッセが昨日と同じように曲を奏でる。その音を聞いてリズムを覚える。随分ゆったりとした曲調で、聞いている内に眠気が差してしまう。タナッセが曲を弾き終える頃にはうとうとと船を漕いでいるような有様になってしまっていた。
 それが気にいらなかったのか、タナッセは強く私の肩を揺さぶる。

「ごめんなさい……あんまりにも眠気を誘うものだから」
「当然だろう。何せ子守唄だからな」
「……子守唄」
「ああ。よく乳母が眠れない夜に歌ってくれてな」
「そうなんだ……それって、ヴァイルも知ってたりするんですか?」
「知らん。……それよりも弾きたいんだろう。練習だ。わざわざ私に頼んだのだから、それなりの成果を上げてもらわねば承知せんぞ。……時間もないからな」

 そう言われた通り、タナッセは夕方になるまで厳しく指導してきた。ちょっと間違えればすぐにハープを取って手本を見せてくれるし、出来た時はちゃんと褒めてくれる。もしかして教師とかに向いているんじゃないだろうか。
 夕方になる頃、ようやく及第点をもらった。何回も指が引きつりそうになったが「まぁ良いだろう」と言う言葉を聞いた瞬間、全てが報われた気がした。達成感のあまり口元が緩んでしまう。そんな私をタナッセが鼻で笑ったが、すぐに真顔に変わると「おい」と私を呼んだ。

「何ですか?」
「お前は、その……ヴァイルのことをどう思っているんだ?」
「どうって……親友ですよ。もしくは悪友かもしれません」
「そ、そうか……」

 タナッセはそう言うと安堵したように息を吐いた。そして、言いにくそうにもごもごと口を動かす。

「それじゃあ、私のことは……いや、やっぱり何でもない」

 タナッセのことをどう思っているか。そんなの分かりきっていることだ。

「心の底から信頼している大切な人だと思っています。……タナッセは?」
「わ、私も……お前と同じ気持ちだ。一緒にいて、お前以上に……心安らぐ時はない」
「……嬉しいです」

 タナッセを想うように、彼も私と同じように思っていることが嬉しい。明日にはここを発ってしまうのが少し寂しい。今度会えるのはいつになるだろう。少なくとも今年はもう会えない。
 それから一緒に夕食を取り、翌日に備えて早めに就寝した。食事中、タナッセがちらちらこちらを見てきていたが、あれは何だったのだろう?






 
 翌朝、ヴァイルへのお土産を鹿車に詰め込み、私はディットンを発った。早朝だというのに律儀にタナッセは見送ってくれ、また「ヴァイルに渡してくれ」と一通の手紙を預かった。中身を見たらタナッセの信頼を裏切ることになるので見ないが、何が書かれているかは興味がある。タナッセに聞いたら「絶対に教えん」とばっさり言われてしまった。親友にも言えない話って何だろう?
 そう思いながら一週間ほど鹿車に寝泊まりし、ようやく城に辿り着く。城に着いてから玉座の間に行き、ヴァイルに報告する。ほとんど生返事しか聞こえなかったのは何故だ。
 それも終わったら沐浴し、自分の部屋へ行って眠ることにした。緊急の用事もないし、少し休むくらいならいいだろう。そう思い、寝ようとした瞬間、扉が叩かれた。何の用事だろうか、と思い、扉を開けると、そこにはヴァイルの侍従が立っていた。

「ヴァイル様からお誘いがありまして、今日の夕食を共に食べないかと」
「分かりました。喜んで行かせて頂きます」
「それでは、お時間になりましたらお迎えに上がります」
「はい。ありがとうございます」

 用件はヴァイルからの夕食の誘いだった。ヴァイルと夕食なんて未分化の時以来だ。そういえばあの時、タナッセは私を敵視していたんだよな……。あの頃、私はすっかり友達だと思っていたのに。そう思い返すと何だか可笑しくて、思わず笑ってしまう。
 そうだ、その時にお土産と手紙を渡そう。それからタナッセに教えてもらったハープを演奏して……。
 そんなことを思い描きながら、ハープの練習をしておこうと思い立つ。暗譜で弾けるように何度も何度も練習している内に夕方になってしまったらしく、先程の侍従が訪ねてきた。
 私はハープを持って行っても良いか、と聞いたが、渋い顔をした侍従にいけませんと言われ、少しがっかりしながらヴァイルの元へ向かった。
 部屋に行くと、もうヴァイルは席に座っていた。子どもの頃のように明るい笑みを向けて「早く早くー」と呼んでくる。が、その前に。

「こんばんは、ヴァイル国王殿下。夕食のご招待、ありがとうございます」

 一応建前でこれだけを言うと、ヴァイルは途端に文句をつけた。

「そんな堅苦しいの良いから早く席に着いてよ」
「しかし、ヴァイル様……」
「あーもう、うるさいなぁ。部屋出てってよ。レハトと二人きりで食べたい」
「しかし……」
「うるさい。出てって」

 近くにいた侍従がヴァイルに注意を促すが、それが気に障ったのかヴァイルはそう言った。侍従らは互いに顔を見合わせた後、仕方なさそうに部屋を出て行った。

「さ、早く食べよ。二人きりだから、何でも話せるよ」

 席に着き、アネキウスへの感謝の言葉を述べてから、用意された食事に手を付ける。どれもまだ温かくとても美味しい。
 食べ始めこそ静かに食べていたが、退屈なのか、ヴァイルが話しかけてきた。

「ところでレハト、ディットンで会ったでしょ」
「……あぁ、タナッセ?」
「うん。……元気にしてた?」
「ええ。毎日詩の勉強で忙しいそうです。確か、最近新作が出ていたような気がします」
「そっか」
「あ、そうだ。タナッセから手紙を渡してくれと」

 懐からその手紙を出すと、ヴァイルはすぐさま封を切り、それを読みだした。その様子を見ていたのだが、ヴァイルの視線が下に行くにつれ、表情が険しくなっていく。何が書かれているのだろうか、凄く気になる。
 ヴァイルは読み終えるとそれをくしゃくしゃと丸めて、近くの籠へ放り投げてしまった。かさ、と音を立てて籠の中へ吸い込まれていった。

「何と書いてあったんですか?」
「……レハトには関係ないよ」

 そう言うとヴァイルは再び食べ始める。私には関係ない。私には言えない。……何の話なのか気になる。しかし、ヴァイルはあまりそのことに触れて欲しくなさそうなので、話題を変えてみる。

「そうそう、ディットンでハープを聞いたんです。それで、凄く綺麗だったので、つい買ってしまいました」
「ハープ? え、レハト弾けるの?」
「あ、あまり上手くないけど……簡単な曲なら」
「そうなの?」
「はい。本当は、今日ヴァイルに聞かせたかったんですけど、持っていくのが難しいのでダメって言われてしまって……」
「ふーん。……あ、ちょっと待ってて」

 急に立ち上がるとヴァイルは扉を開けて、何やら侍従に命じていた。恐らくはハープを持ってこいと言うものだろう。ヴァイルの我が儘に付き合わされる侍従に同情せざるをえないが、たまの息抜きぐらい構わないだろう。
 再び席についたヴァイルの表情は満足そうに笑んでいて「持って来させたから」と告げる。

「別に良かったのに」
「だって今聞きたいし。……それとも、二人きりが嫌なの?」
「嫌ではないです。ただ、あまり上手くないので……。って、ヴァイル、また豆残してますよ。食べないなら、私が食べるから下さい」
「……本当? 良いの?」
「良いですってば。もう……好き嫌いは相変わらずですね」

 ヴァイルの皿から豆だけを取り除く。こんなことが子どもの時にもあった。大人になっても豆が嫌いなのは変わらないらしい。
 食事も終わる頃、ようやくハープが部屋に運び込まれる。ヴァイルはそれを珍しそうに見ていると「触っても良い?」と聞かれたので頷く。ヴァイルが弦を弾くと音が出て、ヴァイルは驚いたように「うお」と小さく悲鳴を上げた。それからは興味の赴くまま弾き始める。楽しそうなヴァイルを見ているだけで心底幸せな気分になる。子どもの時とは違って、あまり自由に振舞うことが出来ないから、こうして子どもに戻ったように笑いあえる時間が好き。
 好きなだけ触って満足したのか、ヴァイルはハープから手を離すと椅子に座る。

「んじゃ、レハト弾いてー」
「はい。弾かせて頂きますね」

 ハープの前に椅子を設置して、そこに座り、弦に軽く触れる。緊張して指が微かに震えている。大丈夫大丈夫、あれだけタナッセと練習したんだから……。
 平常心を保ちながらハープに手をかける。さっきまで練習していたように、頭の中で楽譜を思い描きながらそれを演奏する。間違えていませんように、と祈りながらその子守唄を弾き続けた。
 子守唄を弾き終えて反応を見ようとヴァイルを見る。が、ヴァイルは器用に椅子の上で眠ってしまっていた。子どものように口を大きく開けていることはないが、それでも普段のヴァイルからは考えられないほどに可愛らしい寝顔だった。ほんの少しだけ悪戯心が湧きあがり、そっとヴァイルの頭を撫でてみる。

「ヴァイルは良い子ですねー……よしよし」

 ヴァイルが起きていたら必ず文句言ってくるであろうことを言いながら撫で続けていると、急にふにゃりと口元が緩み、もっともっとと言うように頭を手のひらに押し付けてくる。……本当に子どもみたい。もしも自分に子どもが出来たら、こんな風に愛おしく思うようになるのだろうか。いつか結婚したいなー……。
 ヴァイルも疲れが溜まっていたのだろう。今日はこのまま眠らせてあげようと、廊下で待機している侍従を呼び、食事会はお開きになった。
 






 食事会を終えて二週間が過ぎた。あれからと言うもの、ほぼ三日に一度、ヴァイルがハープを聞きに来るようになった。何でも『聞いていると眠たくなるから』らしい。疲れているヴァイルが癒されて安眠できるなら喜んで弾いているが、タナッセはあまり良くは思っていないらしい。鳥文にそのことが書いてあった。そして、ディットンに来るのはいつになるのかとも。多分「今年中はないだろう」と書くと「今度会いにいくから、その時はよろしく頼む」と返事が来た。まさか、タナッセが自ら王城に来るとは意外だ。あんなに城を嫌っていたのに。

「まぁ、奴も変わったということだろうな」

 リリアノはそう言うと小さく笑いながら溜息を吐く。
 私が今、リリアノとこういった話をしているのはヴァイルからハープの話を聞いたからだそうだ。実際、リリアノは私のハープを聞いて、感心したように褒めてくれた。そして、にやりと笑うと「お主、もしやあやつに教えてもらっただろう?」と言われた。

「どうして分かったんですか?」
「何、お主のハープには癖があるのだ。あやつが弾く時と、同じ癖がな。……ところで」
「はい」
「お主も成人して大分落ち着いてきたようだな。縁談の話も持ち上がっているのではないか?」
「あ、はい。色んな所から来ていて毎日大変です。お断りしていますけど」
「そうか。……お主は結婚するつもりはないのか?」
「ええっと……あります、けど。今は仕事してる方が楽しいので、当分結婚するつもりはないです」
「ほう、そうか。……しかし、結婚するのなら早い方が良いぞ。子を成すのも体力がある若いうちが良い」
「は、はぁ……」
「そこでだ。我としてはあやつと婚姻を結ぶのも良いのではないかと思うのだが……どうだ?」
「ど、どうだと言われましても……」

 まさか、タナッセとの婚約話を持ち出されるなんて思わず、動揺して言葉があやふやになってしまう。だって、今までタナッセのこと心の友としか見ていなかったから、急に恋仲になるなんて……。
 その考えが見透かされたのか、リリアノはくすりと笑う。

「何、そのように焦ることはない。何も今決断を煽っているわけではないからな。ただ、あやつとの婚約も考えてやってほしいというだけだ」
「は、はい……考えておきます」

 そう返事すると、リリアノは溜息を一つ吐く。その顔には何とも言えない笑みが浮かんでいる。

「全く我も親馬鹿よ。……まぁ、あやつには散々寂しい想いをさせたからな、これぐらいなら償いにはなろう。……問題はヴァイルか。あやつも黙ってはおらんだろうな」
「……?」
「ふ、無自覚も罪よの」

 何の話か分からず、首を傾げているとリリアノはふっと微笑んだ。私は微笑み返し、温くなった紅茶を啜る。
 窓へと視線をやれば、石橋を渡る鹿車が見えた。



――――――――――――――
珍しくヴァイルが出て来ない話を書こうとしたんですけど……見事に失敗。
どうしてもヴァイルを出したいのか私は。

言い訳を書くなら三角関係を書きたかったんです。なるべくタナッセが頑張ってる感じの。頑張ってる感が凄くないですね。あえて言うならリリアノ様。息子のためにレハトに婚約話を暗に持ちかけてること。

後はつらつらと裏話。
・タナッセがリリアノ様に相談してる。
・ヴァイルへの手紙は「お前レハトとはどうなんだ。私は結婚相手に立候補するぞ」という内容。

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Author:真織
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