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衣裳部屋にて


ユリリエ友情verA後のお話。
ユリリエと女ヴァイルが衣裳部屋で何かしているみたいです。

女ヴァイルが可愛すぎて困る。本当あの子可愛すぎてもうね……。



 王になってから数か月。ようやく息抜きのコツを掴んだ俺は、今日もまた執務室から抜け出して王城を散歩していた。しとしとと雨が降っていて、湖面は薄っすらと泡立ったようにぼやけている。
 使用人らは廊下ですれ違うと一礼したり、挨拶をしてくる人もいる。俺も王らしく振舞ってそれを無視するが未だに慣れない。だって、挨拶されたら「おはよー」って返せばいいじゃん。威厳を見せるために無視するのって正直どうなんだろうか。と思いながら、王城を歩き回っていると珍しい声が聞こえて足を止める。

「こちら……どう……」
「でも……俺……似合わ……」

 声は衣装部屋から聞こえてくる。俺はこっそり中を覗きこむと、ユリリエとヴァイルが煌びやかな衣装片手に何やら話している。

「ヴァイル様、こちらなんかどうです? 暖色使いですし、それなりに動きやすさもあり華やかですわ」
「……でも、やっぱりもう少し落ち着いた色合いの方が……」
「落ちついた色合いと言えば緑や青ですわね。でも、ヴァイル様の髪とお揃いになってしまいますのでお勧めは致しませんわ」

 よく分からないが衣装を決めかねているのだろう。ヴァイルは渋々、あまり乗り気でないような顔をしているが、反対にユリリエは積極的に衣装を選んでいる。そのほとんどが彼女らしい明るい色合いのものだから、恐らくヴァイルは嫌がっているのかもしれない。
 手に持った一着の衣装をヴァイルの体に当てて鏡石で確かめている。あ、可愛い。あの衣装、ヴァイルに似合っていると思う。
 そのまま二人を観察していると、不意に振り返ったユリリエと視線が合う。彼女は合うなり、にっこりと笑って言った。

「あら、御機嫌ようレハト様」
「レ、レハトっ!?」

 余裕の笑みで挨拶をするユリリエ、それに対して驚きで顔を赤くしたヴァイルの声が雨の衣裳部屋に響く。そんなに驚く事か? と思いながら二人に近づくと、何故かヴァイルは俯いてしまった。
 ……あれ、俺何かしたっけ?

「二人とも何してたんだ? 何か衣装見てたみたいだけど……」
「ああ、それで見繕いに来たのか。そっか、来週舞踏会があるんだな、忘れてた」
「あら、国王陛下がそれで良いのかしら? 開くと宣言なさったのは貴方様でしょうに。……まぁ、それでヴァイル様のを見に来たんです」
「あれ、ヴァイルってまだ衣装持っていなかったのか? 成人してからもう二か月なのに?」
「…………」

 ヴァイルの方を見ると、彼女は気まずそうに視線を下に向けている。薄っすらと耳は桃色に染まり、緊張しているんだろうなと思った。それと同時に思い出した。子どもの時に男になる宣言してたけど、結局女になったから衣装がまだ作られてないのだろうと。それにしても何でヴァイルは女を選んだんだ? あんだけ男になりたい、ムキムキになりたいって言ったのに。
 ま、考えても仕方ないか。俺も女選びたいって言ってたけど男選んだし。心変わりくらいあっても可笑しくない。

「そうですわ、レハト様。もしお時間宜しかったら一緒にどうですか?」
「え?」
「男性の目から見てヴァイル様に似合う衣装を見て頂けません? ねぇヴァイル様」

 そうユリリエが言うとヴァイルは慌てたように首を横に振る。

「そっか、嫌なのか。そりゃそうだよな……」

 ロクに衣装に詳しくない俺に聞いても無駄だよな。でも、まさかそこまで嫌がられるとは思ってなかった。やっぱ女になったらそういう着る服もちゃんと整えなくちゃいけないだろうしな。

「じゃ、俺行くわ。まだまだ冒険したいし」
「そうですの? 残念ですわ、それではまた」
「おう。ヴァイルもまたなー」

 そう言って衣装部屋を去る。さーて、次はどこに行こうか。広間にでも行ってお菓子でも食うか。

「うおっ」

 突如、誰かが後ろからどーんとぶつかってくる。振り向くと、顔を真っ赤にしたヴァイルがいて、その手には頼りなさそうに俺の服が握られている。どうしたんだ? と彼女を見つめる。

「……行かないで」

 少し恥ずかしそうに小さな声でヴァイルはそう言いながら俺を見つめ返す。……綺麗だった。
 思わず時が停まったのではないか、と思うくらいにヴァイルと見つめ合っていると、不意にぱんぱんっと手が叩かれ、驚いて肩が跳ねる。音のした方を向くと、呆れたような表情のユリリエが見ていた。

「さぁさぁ、そんなところでぼうっとなさっていないで、早く決めてしまいますわよ」
「う、うん。……レハト、行こ?」

 照れたようにヴァイルは俺の手を引っ張る。ぎこちなく頷き返し、鏡石の元に行くとユリリエが次から次へとヴァイルに衣装を渡す。そして、自信満々と言った顔で「どれが似合うと思いますか?」と聞いてくる。
 俺はその衣装をヴァイルに合わせながら見ていると、女性らしい穏やかで明るい色合いの衣装を見つける。これ似合いそうだな。と思い、ヴァイルの体に合わせると予想以上に似合っている。

「俺はこの服が好きかな」
「あら、予想以上に女性らしい衣装ですわね」
「うん、ヴァイルに似合うなって思ったんだよ。そうだ、ヴァイル今からこれ試着してみろよ。絶対似合うから」

 そう言ってヴァイルにその衣装を渡すや否や、近くから衣装係達が出てきて問答無用でヴァイルを連れていく。ヴァイルの抵抗虚しく、彼女は近くの物陰へと消えていった。
 その様子をユリリエはくすくすと笑いながら、そしてどこか微笑ましそうに言った。

「ねぇレハト様」
「ん、何ユリリエ」
「あの子のこと、よろしくお願いしますわね」
「あ、うん。分かってるよ」
「うふふ、そうじゃないとあの意気地なしのお馬鹿さんが怒りますから」
「……ユリリエもだろ?」
「あら、ばれてました?」 

 そんな会話をしてると、準備が出来たのか衣装係の一人が顔を覗かせる。そして、ずるずるとヴァイルを連れてくる。
 ヴァイルのその姿を見て俺は言葉を失った。

「…………」
「あ、あの、やっぱり変だよね……」
「……そんなことないぞ?」
「そ、そう? なら良いんだけど……」

 彼女は忙しなさそうに髪を耳に掛ける。耳は薄く桃色に染まっているのを見て、とても微笑ましくなる。こんなにも異性の目を気にするくらいに好きな相手が出来たのか。あのお転婆なヴァイルがなぁ……。女になりたいと思う程好きな人って誰なんだ? 思い浮かばんな。
 一人父親のような心境に耽っていると、背中から「陛下! お戻りください!」と侍従の声。げ、どうやら見つかったようだ。さすがにこれ以上散歩することは出来ないだろう。また暫くは執務室に籠ることになりそうだ。

「んじゃ、俺もう行くわ。ユリリエ、ヴァイル、また後で!」
「ええ。また後で」
「じゃ、じゃあな!」

 別れの挨拶を告げ、衣裳部屋から出ると雨はすっかり止んでいた。怒り心頭といったような侍従を前にその後ろを付いて行く。と、一つ言い残していることを思い出し、衣裳部屋へと戻る。後ろから侍従の怒鳴り声が聞こえてくるが気にしない。

「ヴァイル、さっきの衣装、すっごく可愛かったぞ!」

 それだけを衣裳部屋に投げかける。返事は無かったのが少し不安だったが、侍従に捕まってしまっては確かめようがない。
 その後、俺は脱走の罰として、当分嫌いなものを残さず食べることを強要されたのであった。


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サイト名の通り、色んなキャラに浮気しまくってます。基本SS(と呼んでいいか分からない文)書いて満足してます。矛盾・誤字などがありましたら報告して下さると嬉しいです。

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