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召し上がれ愛妻料理

新年早々憎悪はどうなんだ、と思ったので、
昨年公開出来なかった話を。

ヴァイル愛情verAその後。
女ヴァイルと男レハトでほのぼのと。

 良く晴れた日の昼下がり。俺はヴァイルと共に中庭で昼食をとろうとしていた。
 何でもヴァイル手作りの昼食らしく、彼女は手に持った籠を何度も見てはそわそわと落ち着きのない様子だ。彼女に連れられて、人気もなく明るい場所を見つけ、そこに腰を降ろす。

「あ、あのさ……レハト、俺、料理作ったんだけど……」

 顔を真っ赤にしてヴァイルはそう言うと、それから無言で俯いてしまう。俺はそれを受け取り、礼を言うと彼女は不安そうに、でも、嬉しそうに笑う。

「う、うん。どういたしまして。でも、美味しくなかったらごめん……」

 その言葉に俺は首を振る。
 大丈夫、ヴァイルが作った物なら何だって食べるさ。例え真っ黒焦げのパンに真っ黒焦げの魚が挟まれていても。……ごめん、さすがにそれは無理かも。
 そんな失礼なことを考えながら、どうか違いますようにと籠を開ける。
 ……そこには予想以上の物が入っていた。それは、リネク桃のサンドイッチだった。あまりにも不安そうに言うから、てっきり変な物でも入れたのかと思った。言ったら確実に二度と作ってもらえないから言わないけど。
 試しに一口食べると程よい甘味を感じる。どうやら桃の他にもバターか何かのクリームを入れたのだろう。美味しい、と素直に告げると、ヴァイルは頬を赤らめ、安心したように微笑んだ。

「そ、そっか。良かった。じゃあ、俺も食べよ」

 そう言うとヴァイルも口を付けて食べ始める。暖かな陽光を浴びながら、ヴァイルと二人きりでいるのは何時ぶりだろうとふと思う。ここ最近は侍従らが片時も離れず、こうして二人で静かな時を過ごすことも無かった。あったとしても、せいぜいが寝室を共にするくらい。夫婦だと言うのに会話がない日も珍しくはなかった。
 ヴァイルはサンドイッチを食べながら、ちらちらと俺の方を見てくる。時折、視線が合って笑い返すと、彼女は照れたように視線を外してしまう。
 暫くしてサンドイッチも無くなりかけてきた頃、ヴァイルはぽつりと話しかけてきた。

「あのさ、レハト。最近、俺、レハトが色々頑張ってるって聞いたんだ。ほら、レハト何かと忙しいし、あんまり側にいれないし……。でも、俺が邪魔したらダメだから、我慢してたんだけど……」

 言葉が途切れると同時にがばっと抱きつかれる。ヴァイルを見ると少し悲しそうに俯いていた。

「やっぱり、寂しいよ。夜になれば会えるのは分かってる。でも……」

 そう言い、ヴァイルは服の袖を掴む。ぽろぽろと零れる涙が服を濡らしていく。そのまま嗚咽を漏らしながら、服に顔を擦りつける彼女の頭を撫でながら「ごめんな」と謝罪する。
 思い返せば、暇なんて幾らでも作れた。でも、そうしなかったのは彼女が一言も「寂しい」と弱音を吐かなかったから。だから、大丈夫だと思っていた。仕事から解放された暁には、きっと笑顔で迎えてくれるだろうと。……なんて傲慢な考えだったのだろうか。自分ですら彼女と会えないことに寂しさを抱いているのに、どうして彼女は寂しくないと思える。本当に俺は馬鹿だ。
 彼女の柔らかな髪を撫でながら、暫く宥めていると泣き止んだ彼女が顔を上げた。目は泣き腫らして赤くなっている。

「ん……ごめん、困らせるつもりじゃなかったのに……」
「いや、俺が悪かった。今度からちゃんと時間を作って会いに行くよ」

 そう言うとヴァイルは安堵したのか口角を上げる。そして、俺の膝に跨るとその両腕で、俺の顔を抱きしめた。

「……ありがと。ねぇ、レハト、もう一つだけ……我が儘言っても良い?」

 小さく可愛い声でそう言われては断る理由がない。「良いよ。何?」と先を促すと、真正面から俺を見つめてくる。そして、ゆっくりと目を閉じたので、つまりは、そういうことだと思い。彼女の肩に触れながら、そっと唇に口付ける。
 数秒経って離すと、ヴァイルは顔を真っ赤にしている。そんな彼女を見ていると愛おしさが胸の奥から溢れてきてそのまま抱きしめる。最初こそ慌てていたが、平静を取り戻したらしい彼女は俺の頭を撫でながら一言。

「……甘えん坊」

 それはヴァイルもだろ、そう思いながらも甘えん坊なのは否定できない。
 いつまでもこの時間が続けばいいのに――そう思わざるを得ない、昼下がりの一時。


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サイト名の通り、色んなキャラに浮気しまくってます。基本SS(と呼んでいいか分からない文)書いて満足してます。矛盾・誤字などがありましたら報告して下さると嬉しいです。

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