Flirtgirl

かもかてSSを書いてます。

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

どうしようもない

春休みに入り積みゲーを崩してました。楽しい。
久しぶりに書くとキャラの口調があやふやになってぎゃーってなります。

サニャ愛情verC後、ヴァイルと結婚した話。
誰も幸せになれない話。レハトさんが割と酷い。後喋ってます。


 サニャ、と彼女の名前を呼ぶのが合図だった。
 呼ぶと、彼女はにこにこと微笑みながら近くまで寄ってくる。そして、小首を傾げて「レハト様、どうかしましたか?」と聞いてくる。俺は無防備な彼女の手を引っ張り、自らの胸元へ閉じ込めると、慌てたような彼女の愛らしい声が聞こえた。

「わわ、レハト様、何ですか……! は、早く離して下さいです! こんな所、人に見られたら……!」
「別にいいだろ? 誰も来ないよ」

 彼女の癖っ毛を手で梳きながら、空いた片手で彼女の背中を撫でる。ふわりと甘い果実のような匂いが鼻孔をくすぐった。

「で、でも……」

 未だにぐずぐず言っているサニャの顎を上げて、無理矢理口づけると彼女は顔を真っ赤にして黙ってしまう。何も言わなくなった彼女を見て、もしかして怒ったか? と心配する。……しまった。

「……ひ、卑怯です」

 ぼそり、そう呟いた一言がとても可愛らしくて、俺は再び彼女を抱きしめる。「可愛い」と囁くと「嬉しいです」と返してくる。本当にサニャが愛しくてたまらない、それこそ世界を敵にしても彼女がいれば問題ないくらいだ。
 暫くして彼女は突然、俺から離れると部屋の隅の方でさっきと同じくしゃんと姿勢を良くして待機に入る。何故? と思っているとばたばたと誰かが駆けてくる足音が聞こえた。

「レハトー、外に行こうぜー」

 突然、扉を開けてヴァイルが入ってくる。長く伸ばした若草色の髪には、以前俺が送った髪飾りがつけられていた。その事を嬉しく一方、外に行くなんて無理と知っているのにと呆れる気持ちも混じる。一番思うのは、何でこんなタイミングでということだが、彼女は気紛れな一面があるから仕方ない。

「ヴァイル、悪いがそれは無理だ。まだまだ仕事が残っているからな」
「えー、でも、リネク桃の花、咲いたから! 一目だけでもいいから!」

 ヴァイルは俺の片腕を引っ張りながらそう言い喚く。サニャへと視線を向けると、彼女は困ったように微笑んでいる。ヴァイルは相変わらず外へ連れ出そうとしている。……仕方ない。こうなれば意地っ張りな彼女は、俺が頷くまで居座るだろう。
「分かった。分かったから袖を離せ」
「ご、ごめん……」

 素っ気なさ過ぎたのか、少し怯えたようにヴァイルが謝る。別にヴァイルといるのが嫌なわけじゃないから、謝罪の意味も込めて彼女の頭を撫でる。

「それじゃ行くか」
「うん!」

 子どものようにはしゃいでいるヴァイルに少し呆れて笑みが浮かぶ。女性になった時は酷く戸惑っていたのに、今ではすっかりお転婆な少女になってしまった。俺は落ち着きのない彼女の手を取り、扉に手を掛ける。

「いってらっしゃいませ」

 凛と芯の通った響きの声を背に、俺は執務室を出た。



 中庭に面した廊下をヴァイルと共に歩いていると数人の貴族とすれ違う。彼らはにこやかな笑みを浮かべながら「仲の宜しいことで」と言いながら、そのまま何処かへ行ってしまう。恐らくは税収の報告だろう。仕事が増えることを懸念して、思わず眉に皺が寄る。

「ね、ねぇレハト」
「……何だ?」
「俺とレハトって、ちゃんと……その、夫婦らしく見えてるのかな」

 どこか不安げな顔つきのヴァイルは俺を見上げる。その問いの馬鹿馬鹿しさに思わず笑みが零れる。

「見えてるに決まってるだろ」

ヴァイルの不安を払拭するようにそう言い切り、彼女の髪に口付けを落とすと、彼女は照れたように頬を赤らめる。そして安心したように微笑んだ。

「よ、良かった。……行こ、日が暮れちゃう前に」

 彼女は再び俺の手を取ると、かつて訪れたことがあるその場所へ向かう。その場所へ近づくに連れ、薄っすらと甘い桃の匂いが漂ってくる。
 茂みを抜け、その場所の一角には堂々と白桃色の花の木が咲き誇っていた。
 かつてヴァイルと一緒に埋めた種がこんな風に実るのを見ていると、時が過ぎているのを実感する。

「……綺麗だな」
「ね、本当綺麗だよね。これ、レハトに見せたくって……」

 風にたなびく髪を片手で押さえながらヴァイルは言うと、様子を窺うように俺を見上げる。視線が合うなり彼女は視線を逸らしてしまう。

「レハト、俺……」

 ヴァイルは何か言いかけたが「やっぱり、何でもない」と首を横に振る。

「ごめん、俺、そろそろ戻るね」

 そして、一方的にそう告げるなりヴァイルは踵を返して城へと戻って行った。
 何を言いかけたのだろうか。と考えるが、何でもないというのだからきっと些細なことなのだろう。考えることを放棄し、俺は桃の木を見つめながら、この現実に一人溜息を吐いた。



――――――――――――
補足
レハトは別にヴァイルを愛してないわけじゃない。
ただ本命(サニャ)が別にいることを知っている上で、甲斐甲斐しく頑張るから可哀想と思ってる。

それにしてもこのレハトはユリリエに刺されそうではある。
スポンサーサイト

Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

Menu

プロフィール

真織

Author:真織
サイト名の通り、色んなキャラに浮気しまくってます。基本SS(と呼んでいいか分からない文)書いて満足してます。矛盾・誤字などがありましたら報告して下さると嬉しいです。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

右サイドメニュー

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。