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奇跡は起きない

ヴァイル憎悪verBその後の話。
二人の仲は悪い。

・登場人物が死ぬ。
・レハトは魔術が使える。
・ヴァイル憎悪一位おめでとうSS。

追記からどうぞ。


 レハト付きの侍従から「彼女が食事を摂らない」と言うことを聞いたヴァイルは、その夜、久々にその部屋を訪れた。城の一角にそびえ立つ塔の頂上にあるその一室には、豪華な調度品が目につく。
 夜遅く訪れたため、部屋にはぼんやりと蝋燭が灯っている。ヴァイルはその灯りを頼りに彼女が伏せっている寝台に行くと「誰」とか細い声が飛んできた。

「俺だけど」
「……そう。何の用」
「最近、アンタ何も食べないんだって? 使用人が困ってたよ」
「あっそ……」
「ちゃんと食べなきゃ心配するだろ」

 ヴァイルは冷めたスープを一匙掬って飲むと、もう一度掬って「ほら」と差し出した。しかし、レハトは飲もうとせず、ヴァイルに背を向けて「いらない」と言う。そんな態度にヴァイルは溜息を吐くと、呆れたように言った。

「毒なんか入ってないからさ、安心して飲みなよ」
「……別に、いらない」
「食べないと死ぬよ? それでも良いの?」
「死んでも良い。この城から離れられるなら……」

 レハトがそう言うと、ヴァイルの心に寂しさと悲しみ、そして怒りが混じりこんでくる。やはり、レハトは自分と共に居てはくれない、死んでもいいくらいに自分と離れたがっているのだと。
 ――そんなの許せるはずがなかった。自分が手に入れられない『自由』を同じ徴持ちであるレハトが手に入れるなんて、ヴァイルにはとても許せるものではなかった。かつて徴のせいで多くの者を失ってきただけに、その想いは一際強く、結果レハトがここに監禁されているのだ。
 ヴァイルは持ってきていた薬湯を飲ませようとするが、当然レハトがすんなりと飲むはずがなく、彼女は激しく抵抗した。それに堪忍袋の緒が切れたのか、ヴァイルは自分の口に薬湯を含ませると、無理矢理レハトに口付けた。そこから薬湯がレハトの口に入っていくが、その間にも彼女はそれまで以上に抵抗した。
 口移しが終わり、ヴァイルがレハトの様子を見ようと顔を上げた。レハトはわなわなと怒りと屈辱で体を震わせ、薄っすらと涙で潤った目でヴァイルを睨み付けていた。

「離せ!」

 レハトが一際大きな声を上げると同時に、ヴァイルの体が壁へと飛んでいく。背中を打ちつけて凭れているヴァイルは、信じられない、と言わんばかりに目を見開いていた。何が起きたのか分からなかったのだ。レハトの力にしては強すぎるし、そもそも以前よりも細くなった腕にそんな力はないだろう。
 ヴァイルは立ち上がろうとするが、何か力が働いているのか、立ち上がることが出来ない。レハトは、無防備な状態のヴァイルに跨ると、自らの下にいるヴァイルの髪を引っ張り、目線を合わせて言った。

「……ねぇヴァイル。私考えたの。どうしたら貴方は私を解放してくれるのか。……思いついたの、ヴァイルを殺せば、私は解放されるんじゃないかって」
「そんなの無理に決まってるじゃん。……馬鹿じゃないの」

 嘲るようにヴァイルがそう告げると、レハトも同じように嗤う。

「本当? 本当にそう思っているの? なら、貴方はどうしようもない――馬鹿ね」

 そう言いきると同時に、彼の首へと手を伸ばした。意図を察したらしいヴァイルは、すぐにレハトの身を突き飛ばし、距離を取るも、彼女は真っ直ぐ手を翳したまま彼を見据える。
 ヴァイルが訝しげにレハトを見ていると、不意に全身を痛みが貫いた。幸いにも急所は外れていたが、服を貫通しており、腕や足からは微かに血が流れていた。
 ――何が起きたんだ? 
 理解する暇も無いまま、その場にくずおれるヴァイルを見下しながら、レハトは「死にたい?」と問う。

「死にたくないに決まってる。……そんなのも分かんないの、馬鹿?」
「じゃあ、殺せば? その腰についているお飾りの剣で私を刺しちゃえば良いじゃない。そうすれば貴方は死なない。そうしなきゃ貴方は死ぬ」

 そう告げるもヴァイルは何も行動を起こさなかった。怒りの籠った目でレハトを睨むだけで、剣に手を掛けることもしない。
「出来ないの? ……所詮は臆病者ね。がっかりだわ」

 残念そうに言い捨てると背中を向け、レハトは窓辺に寄ると、掛けられていた薄布を取り払う。途端に冷ややかな月光が堅牢な鉄格子越しに降り注ぐ。

「そんなんだから皆貴方を置いていったのよ。可哀想、本当に、可哀想!」
「……違う、違う違う違う!」

 ヴァイルの怒号と共に、レハトの胸元を鋭い剣先が貫いていた。胸元から血が溢れ、床を汚していく。レハトは自分に何が起きたか分からず「え?」と呟くと、膝元から崩れ落ちていった。
 床に倒れ、自らの手が血塗れになっているのを見たレハトは、怒りで顔を赤くしたヴァイルを見、そして震えた息を吐くと大声で高笑い始めた。何故笑っているのか分からなかったが、酷く馬鹿にされたように感じたヴァイルがレハトを睨み付けると、彼女は更に大きく笑い声を上げた。
 その笑い声も、出血が長引くにつれ小さくなっていき、最期には死に顔を見せまいとしているのか、顔を隠してしまう。
 その様子に、ようやく怒りよりも、レハトが居なくなってしまうという不安に駆られる。大声を上げて衛士を呼び、今更「大丈夫?」と聞いても無駄だろうとは思いながらも、ヴァイルは聞かずにはいられなかった。レハトの体を抱き上げ、何度もレハトの名を呼ぶ。
 閉じていた瞼が開き、レハトの目がヴァイルの姿を捕らえる。――生きていた。そう安堵して笑みを浮かべるヴァイルに、レハトは微笑みながら優しい声色で彼の名前を呼ぶ。しかし、次の瞬間には歪んだ笑みを浮かべると、レハトは告げた。

「一生、お前なんか、玉座に居ればいい。玉座に縛られて、ずっと一人ぼっちで……」

 事切れたのか、レハトの言葉が途切れる。途端、ずしりとレハトの体が重くなり、彼女体が床に落ちる。しかし、ヴァイルの表情は固まったまま、衛士らが部屋に来るまで、呆然とその場に座り込んでいた。



―――――――――――――――
この場合ランテ家断絶しないの? って聞かれるかもですが、新しい寵愛者(庶民から輩出)をランテ家に組み込んだということにして下さい。
……あれ、それだと下手したら第二のネセレ誕生じゃね?

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サイト名の通り、色んなキャラに浮気しまくってます。基本SS(と呼んでいいか分からない文)書いて満足してます。矛盾・誤字などがありましたら報告して下さると嬉しいです。

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