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雨の香に混じる

グレオニー殺害エンドその後。
レハトは女を選択したようです。

グレオニー友情エンド見れない当てつけグレオニー殺害エンド部門一位おめでとう記念SS。
でも、良く考えたら祝うことじゃないような気がしてきた。



 雨音が壁を叩く音で目が覚めた。寝台から抜け出すと妙に肌寒く、薄っすらと鳥肌が立つ。成人してからは、尚更寒くなった気がする。窓の外を見れば、曇天の合間に緑色の光が差し込んでいる。
 とうとう、グレオニーが処刑される日が訪れたのだ。
 連日快晴が続いていたのに、今日は雨が降っている。アネキウスが泣いているのだろうか、と思ったがそんなわけない。寵愛者である私やヴァイルならともかく、ただの一衛士――それも寵愛者を殺害しかけた男に怒りはしても泣くことはないだろう。
 朝食を食べ終え、処刑するまでに暇がある。不意に、最後に彼と話したいと思った私がローニカに問うと、彼は困り顔をしながらも許可を出してくれた。
 そして、薄暗い地下牢へ来た私は、とうとうグレオニーと対面した。久しぶりに見る彼はやつれている。しかし、前と同じく身なりは整っている。
 こうしてグレオニーと会うのも最後なのだ。

「グレオニー、元気?」
「ええ、お陰様で……」
「……何よ、一人前に嘘なんかついて。どう考えても元気に見えないわ」
「そう、ですか。……あの、レハト様」
「何?」
「俺は、確かにレハト様を憎んでいました。俺にはない才能を見せつけられて悔しかったんです。だから、あの時、俺は……」

 また同じ話か、と思っているとグレオニーも同じように思ったのか「すいません」と謝罪した。

「謝罪はもういいわ。聞き飽きたもの」
「…………」
「グレオニーが十分反省しているのは知ってる。でも、正直に言って私はグレオニーが憎くて堪らないの」

 そう告げると、グレオニーは目を見開いて、そして「そうですか」と穏やかに微笑む。
 それが気に食わなくて、挑発するように嘲笑いながら言った。

「だから、祈ってあげる。貴方が無事に山を越え、再びここに戻ってくるのを。そして、私を屈服させる、その日が来ることを。……ま、来ないでしょうけど」
「……ありがとうございます」

 この期に及んで、何故グレオニーは笑っていられるのだろう。私なら死にたくないと懇願すると言うのに、彼は諦めてしまっているのか、ただただ静かに微笑むだけ。

「……死ぬのが怖くないの?」
「怖くないと言えば、嘘になります。でも……レハト様が祈って下さるなら……怖くはありません」

 真っ直ぐ私の目を見据え、そう言ってグレオニーは笑う。私は彼の考えが理解出来ず、視線を逸らして目の前の鉄格子を蹴った。乾いた音が、湿った空気に反響する。
 本当に意味が分からない。分からない。
 どうして死を前にして彼が落ち着いていられるのか。どうして彼は一言も恨み言をぶつけないのか。――どうしてあの時、彼は私を『好きだったのかもしれない』と告げたのか。答えは見つかることはない。恐らく、これから先ずっとそうなのだろうと思うと、胸が締め付けられる心地がした。
 想像しただけなのに苦しく、思わず床に蹲ってしまう。「レハト様」と心配そうな彼の言葉が聞こえれば、更に痛みは増していく。
 嫌い、嫌い、大嫌い。こんな苦しみを作るグレオニーが嫌い。記憶が消せるなら今すぐ消してしまいたいくらいに。でも――
 思考が混乱する中「レハト!」と鋭い声が湿った空気を切り裂く。声の方を向くと、血相を変えたヴァイルが衛士らを連れて、こちらへ向かってきている。

「ヴァイル……」

 手の甲で涙を拭いながら彼を見上げると、彼は問答無用で私の腕を引っ張り上げ、衛士らの方へ引き渡される。横目に見た彼は怒り心頭、といった感じで、これは何も言わない方が良いと思い、衛士らと共に外へ連れ出される。
 衛士らの中には当然私とグレオニーのことを知っている者が多く、責めるような視線の居心地の悪さに居たたまれなさを感じるしかない。誰一人口を開く者はいないのが、何だか不気味だった。
 そのまま衛士らに連れられて訪れたのは処刑場だった。もうそんな時間になっていたのか。随分長い間、牢にいたのだ。
 雨も気づけば勢いが弱まっていて、小雨になっている。肌寒く、今すぐ部屋に戻って暖まりたい。
 それでも、私は見届けなければならない。彼のためにも、私のためにも。
 この傷は時と共に消えていくのだろう。彼が存在したことも、私が抱く憎しみも、いつか時に流されて風化してしまう。どうしてだろう、それがとても悲しいことだと思った。けれど、涙は流れない。私はまだ彼を憎んでいるのだから。
 やがて、彼の姿が現れる。同僚であった衛士に引き連れられ歩くその姿に、思わず逃げ出したくなるが視線は逸らせない。視線を逸らすことは、私が悪かったのだと認めることになる。それは嫌だ。こんな意気地なしで臆病で、馬鹿で、どうしようもない阿呆に負けるなんて、そんな屈辱耐えられない。
 すると、グレオニーが視線を向けて来たかと思うと、また口元に笑みを浮かべた。
 その笑みに共鳴するかのように、肩の傷がじくり、と痛む。思わず顔を顰める。
 もうすぐ彼の首が飛ぶ。きっと、その時も彼は微笑んでいるのだろう。そして、恐らくその顔は永遠と私の脳裏を掠め続けるのだ。
 ……雨の匂いが鼻孔を擽る。それに鉄の匂いが混じるのは、きっと、すぐ後のこと。


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サイト名の通り、色んなキャラに浮気しまくってます。基本SS(と呼んでいいか分からない文)書いて満足してます。矛盾・誤字などがありましたら報告して下さると嬉しいです。

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